ピックアップ商工新聞
原子力ムラの責任を私たちに押し付けないで

喫茶店Mさんコーヒー100杯分の電気代  

商工新聞読者のMさんは、今年3月に念願かなって区内で喫茶店をオープンしました。「街のみなさんに知ってもらうまでは」と、朝6時にお店をあけてから21時まで。お休みも隔週一日だけと一人で頑張っています。おいしいケーキとおいしいコーヒーとMさんの笑顔を楽しみに街の人が集まるようになってきました。
ところが、9月の電気代の請求書を見てびっくりしました。なんとその額5万円。Mさんのお店はコーヒー1杯380円100杯以上売らなくてはなりません。あまりの電気代に「もう死にたくなった」。


塾経営Hさん東電に抵抗中

 4月1日から一斉に行われた個別契約の値上げ。東京電力(以下東電と略す)に「どうしても納得できなかった」と塾経営の会員Hさん。
お知らせをもらって東電に電話した際に、契約期間が残っている事業者は値上げの契約変更に応じる必要がないことを一言も説明しませんでした。
原子力発電所の事故の影響で、一部の生徒が関西に移るなどの被害を受けていたHさんは、「原子力発電所の事故に責任がある東電が被害者であるわたしたちに値上げを強要する。しかも、都合の悪いことを黙って騙そうとしている」この態度に憤りを感じ、個別契約以外は法律で強制される値上げにとことん抵抗することにしました。
当初は多くの顧客が契約を拒んでいましたが、契約期間が切れると東電の圧力で値上げに応じる業者が増えています。低姿勢ながら東京電力は引き落としを解除し値上げ後の金額の払い込み用紙を送りつけ、旧電気料金での受取を拒んでいます。しかもしつこく「会ってくれ」と担当者を個別に送り、東電のプレス文書と同じ内容で「いかに自分たちの経営が大変か」を一方的に1時間以上説明していったそうです。「東電はもう9割のお客様は値上げに応じましたと言っていました。塾なので東電に悪い噂を立てられたらと思うと不安に感じます」。
払い込み用紙を訂正したものを銀行窓口で払い込めることを知り、抵抗を継続することに。旧料金での払い込み用紙を送ってこなくなったら供託も視野に入れてふんばっています。


小売業KさんPPS導入を検討

 復興増税・消費税増税・電気料金値上げ「復興予算を原子力関係の研究費に流用するなど、震災と原発事故に乗じた火事場泥棒」。しかも他の上場企業との比較でも高すぎる東京電力社員の賃上げに「あからさますぎてあきれます」と小売業の会員Kさん。店舗兼住宅の建物の電気代が負担しきれなくなりそうだったので、ぎりぎり50kW(6000V以上)で対象となっていたPPS(特定規模電気事業者)(PPS・Power Product Supplier)との契約を検討しました。
電力自由化に伴ってつくられたPPSですが、地方自治体や大企業などで手いっぱい。中小零細業者のところまで手が回らないのが実情だそうです。
福島第一原発の事故で、死の灰をばらまき関東一円を汚染した張本人の東電がのうのうと値上げをほしいままにし、原子力マネーでおいしい思いをしてきた政治家・マスメディアは口をぬぐっている。
他方中小零細業者や生活者が食品の汚染におびえ、放射能汚染による経済的損失、増税と電気料金に悲鳴を上げている。こんな状況はおかしい。みんなで力を合わせて世の中を変えていきたい。